作物に必要なのは肥料ではなく窒素である

作物に必要なのは肥料ではなく窒素である

なぜ、作物に肥料を与えなければならないのか?
もう一度整理してみたいと思います。

農業の歴史
農業の歴史はざっとこんな感じだと思います。
農業が始まった当初は、おそらく肥料の概念がなかったため、無肥料にて栽培
自然栽培に似ていますが、窒素の供給がないため極めて収量が低かったと思われます。
江戸時代ごろから人糞や牛フンを与える有機農法がはじまり収量も上がったことが考えられます。
明治時代に入り、外国から即効性の化学肥料が輸入されるようになり昭和初めごろからは慣行農法に移行していったと思われます。
終戦後、国を挙げて農業試験場などで本格的に慣行農法の栽培技術が研究されるようになり、完全に慣行農法へと移行しました。
しかし、農薬や化学肥料の健康への懸念からS50年以降再び有機農業に戻り始めます。

植物の栽培には肥料ではなくて肥料の中もしくは分解する過程で発生する窒素成分が必要なのです。
(余談ですが学校の理科で植物には窒素が必要だと全く教えないのは何か意図があるのだと思います。一般の人は全く知らないことでしょう!!)

  1. 慣行農法
    農業試験場などでは個別の作物(ダイコンやキャベツ等)に対して植物が生長するまでに1反あたり窒素が何Kg必要なのかを緻密に測定しています。
    化学肥料では作物の根があまり育たず、不健康な作物になるため虫にやられやすくなり農薬が不可欠になります。しかもおいしくない!!
  2. 有機農法
    作物の生長に必要な窒素成分を牛フンなどの堆肥から得ます。
    慣行農法よりは元気な作物ができるため虫や病気にはやや強くなります。
    そして、味もおいしくなります。
    しかし、堆肥中の窒素の量が少ないため投入する堆肥の量が化学肥料の何十倍にもなってしまいます。
    さらに投入しすぎると肥料過多で虫病気が増えてしまします。

慣行、有機に共通すること
空気中に投入した肥料の窒素成分の50%ぐらい逃げます。
(化学肥料は樹脂コーティングなどで蒸発を緩やかにするものもあります。)
さらに、40%ぐらいが雨などで流れます。
最終的に植物が肥料から得ている窒素の量は投入前の10%ぐらいしかありません。
これは非常に非常に効率が悪いことです。
そして、化学肥料や堆肥では窒素が足らなくなった場合は追肥が必要になり手間がかかります。

これに対して自然栽培では、供給する窒素を大豆で補給します。
大豆は根に根粒菌が存在しており、これに窒素を蓄え土中に窒素を供給しています。
大豆が生長中であれば常時土中に供給され続けますので追肥の必要はありません。
さらに大豆は自分が生長するのに必要な窒素の量よりもはるかに多い量の窒素を根に蓄え土中に供給しますので、
大豆が枯れた後に根を残しておけば土中の窒素の量は豊富に存在、次の作物を無肥料で栽培することができます。

植える大豆の量は堆肥に比べて極めて少なく、枝豆として利用できるため一石五鳥分ぐらいの効果があります。
この前の農業大学のセミナーでは梨の木に追肥するために木の下に深さ1mぐらいの穴を掘り、そこに堆肥と掘った土を混ぜて戻しました。
これが何十本とありたいへんな作業でした。
しかし、自然栽培ではこの重労働も必要なく、大豆を植えるるだけで終りです。

以下、まとめました。
自然栽培の大豆数kgを植えた場合の窒素量を得るために必要な各農法肥料投入量

  1. 慣行農法
    化学肥料・・・・・・・100kg
  2. 有機農法
    堆肥・・・・・・・・・・・軽トラ2杯分

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